彼氏もしくは彼女と同棲していて、家賃も支払っていたのに、急に同棲を解消したい、出て行ってくれと言われたり、別れたいから部屋を解約すると言われてしまう場合があります。
また、酷い時には鍵を勝手に変えられて部屋に入れないようにされてしまうなどのケースもあります。

場合によっては円満に過ごしていたのに、名義人が不慮の事故などで亡くなって出て行かなければいけない時もあります。

そんな時はどうすればよいのでしょうか?
また、どうすればこういった事態を防げるのでしょうか?

同棲の場合、契約名義はどちらなのかで全てが変わる。

契約の名義人が誰なのかによって、住居に関する権利には雲泥の差が生じます。
もし、賃貸借契約書に記載されている契約名義人が相手側の場合、
居住権は名義人にあるので、喧嘩等をして出て行ってくれと言われた場合、相手を説得する以外にもう一度その部屋に住む方法はありません。
ただし、強制的に部屋を追い出されて荷物に自分の荷物が残っている場合は、それら全てを取り戻す権利があります。
勝手に荷物を処分をされた場合は損害賠償を請求が可能となります。

相談無く、勝手に解約通知書を提出された場合

一方的に別れたい側が同棲相手に無断で部屋の解約通知を提出し「もう解約するから出て行ってくれ」と宣告するケースがあります。
こちらも契約名義人が相手である限り、解約届を出す事は当然の権利なので止める手段はありません。
その物件を気に入っており住み続けたい場合は、不動産会社に相談して新たに初期費用を支払い、自分の名義で賃貸を借りなおす必要があります。

解約通知が出ているのに、退去しないとどうなるのか

解約日には管理会社が立会いの下、お部屋が空室になっているか、傷などがお部屋についていないか、
契約者と管理会社の者で確認をします。
契約者が解約手続きを正当に行っている以上、同居人がお部屋に住み続ける事はできません、居座った場合は不法占拠という扱いになってしまいます。
居座り続けた場合、同居人に部屋に住む権利は無いため、損害賠償を請求されたり、裁判で強制執行という手続きを取られます。
強制執行が行われると、強制的に荷物を全て他の場所に移され、鍵を変えられて追い出されてしまいます。

そもそも同棲というのはリスクのある行為

同棲というのはかなりリスクのある行為です。
例えば夫婦関係がある場合はどちらかから強制的に別れるよう迫られた場合も、財産分与によって共同財産が分配される事になります。
しかし単なる同棲では部屋を追い出されたり強制解約されるだけで終わってしまいます。
確実に自分の物である荷物は返ってきますが共同で購入した家具などは返ってこない事が多くなります。
協同貯金などはどちらがどれくらい収めたか目録をしっかり作っていないと大いに揉めますし、初期費用を返す返さないで揉めたりもします。(基本的には契約名義人の方が立場が強いので裁判を起こして正当な証拠を示さなければ返ってこない事がほとんどです。)

また、万が一どちらかが急死した際に相続もできないので、二人で貯めた貯金であっても相続人に差し押さえられるなどで取り戻せなくなったりします。
万が一親族が理解があって『遺産をくれる』となった場合もそれは相続ではなく、贈与という扱いになるため、高額な贈与税が発生します。

一緒になる決心がついているのであれば、速やかに婚姻関係を結ぶのかリスク軽減になります。

円満に同棲していて追い出されなくても、万が一の時に内縁関係を結んでいないと強制解約になる場合も



また、婚姻関係にならずとも、少なくとも内縁関係になっておく必要があります。
内縁関係を結ぶには住民票の内容を変更し、
どちらかが世帯主で一方が妻(未届)または夫(未届)と記載される必要があります。

内縁関係を結べば、万が一名義人が亡くなった場合も、他の相続人が居なければ内縁関係者が賃貸借契約を引き継ぐ事が可能となります。
また他に相続人がいる場合も大抵の場合は相続人の権利を援用し、内見関係者が住み続ける事が多くなります。
内縁関係を証明できない場合は、名義人が亡くなった際に賃貸に住み続ける権利が無いため強制解約となります。

賃貸を借りる際に申込時に「内縁の夫」「妻(未婚)」「夫(未婚)」と記載し、賃貸借契約書の同居人の欄に記載されれば内縁関係ありと認められます。

円満に住んでいる間は問題なくとも、何かあった際に手続きしておけばよかったと後悔する事があります。
いざ片方が亡くなった時に遺産を何も受け取れない場合を考えて、一緒になる気持ちが既に固まっているのであれば速やかに婚姻届けを出すようにしましょう。
少なくとも住民票を変更して内縁関係を結んでおく方が良いでしょう(内縁関係では遺産相続は行えません。)

まとめ

一戸の住居に二人が住んでいる以上万が一の事が起こる可能性があります。
二人でずっと住むという意識があるのであれば、なるべく早く婚姻関係を結んだり、内縁関係を結びましょう。
まだ、そこまで行く段階ではない、決心がつかないとしても、ずるずると過ごしているうちに不運が重なり突然の別れが起こった際に後悔する可能性があります。