不動産仲介業の男が暴力団と手を組み募集中の空室を特殊詐欺に不正利用

2025年10月30日に不動産業界にとんでもないニュースが飛び込んできました。
一部要約してご紹介します。
住吉会系暴力団関係者2人が「保険金で補償される」などとうそをつき、60代男性から現金300万円をだまし取ったとして逮捕されました。
知り合いの不動産仲介業者を使って借りていない空き部屋を内見予約し、そこを現金の受け取り場所として利用していたとみられています。
不動産業の男は業界向けの検索サイトから空室と合鍵の情報を入手し、詐欺グループに提供していたとされる。警視庁によると、同じ手口で東京都内の約80か所の部屋が使われ、被害総額は約11億円に上る可能性があるということです。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20251030-OYT1T50194/
賃貸物件の空室は全国に約394万戸あり、悪用が広がれば詐欺や薬物犯罪を助長しかねない。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD2939E0Z21C25A0000000/
不動産仲介業とは、入居者を募集しているお部屋にお客様をご案内し、お申込みから賃貸契約の締結までをサポートすることで収益を得ている業種です。
近年では、WEB上で内見(お部屋の見学)の申込みができるようになり、全国どこにいても募集物件をご案内できるようになっています。
今回は、その「内見システム」を悪用した犯罪となります。
不動産仲介業者は、業界専用のサイトから募集されているお部屋をWEB上で内見申込することで、オートロックの解除方法や、現地に設置された鍵の保管箱(キーボックス)の暗証番号を知ることができます。
一度その情報を入手してしまうと、その部屋が空室のあいだは、再度申込みを行わなくても自由に出入りできてしまう危険性があります。
本来、不動産業を営むためには、国家資格である「宅地建物取引士」を有する人材を配置し、開業時には全国宅地建物取引業協会に約60万円を納めたうえで、国土交通大臣または都道府県知事から「宅建業免許」を取得する必要があります。
そういった面倒な手続きを経て免許を取得した上で「不正な行いをしない」という信頼と性善説のもとで不動産業界は運営されています。
しかし、悪意を持った業者が存在した場合、この仕組みにはセキュリティ上の弱点があるといえます。
今後、同様の事件が続くようであれば、不動産業界全体で内見方法の厳格化やセキュリティの強化が求められるかもしれません。

