再建築不可物件というものををご存じでしょうか。

再建築不可物件とは、現在の建築基準法に適合していないため、取り壊しをしても再建築のできない物件の事です。

建築基準法には「都市計画区域および準都市計画区域内の土地に建物を建てる際は、その土地が幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならない」という接道義務が存在します。
※都市計画区域・準都市計画区域とは都市計画法という法律によって、都道府県知事や国土交通大臣が指定するエリアのこと。

接道義務を満たしている場合

戦後まもなく日本は空襲等により多くの家屋が焼け野原となり、住む家が足りず、復興のため次々と住宅を建てました、その結果、家々が密集し、万が一の際に緊急車両が入れない、災害や火災に弱い住宅街が形成されました。
その後、昭和25年 建築基準法が施行され、昭和43年都市計画法が施工されました。

これにより道路や住宅の区画が整備され、緊急車両が通れない道路が減る事で火災等にすみやかに対応できるようになります。
しかし、この仕組みが適応されたからと言って、この法律ができる前から建っていた物件を取り壊すわけにはいきません。
その結果、その義務を満たさない物件は「今現存しているものは仕方がないけれど、取り壊して新しくする際は法律に則った建築をしてください」という扱いになります。

そして、現在の法律に適応していないような物件は以下のような理由が主な原因となり再建築不可となってしまいました。

敷地と道路の接合部が2m以下
・敷地と繋がる道路が4m以下
敷地が建築基準法上の道路に接していない
そもそも敷地が道路に接していない

こういった現行の法律に反した状態で現存している建物は、その原因を解消しない限り再建築不可となるのです。

再建築不可物件は建て替えができません、解体して更地にしてしまうと家屋が建っている時よりも固定資産税がかかるため、誰も使用しない老朽化した家屋が放置されるケースが多発しており問題になっています。

2016年から『空き家対策特別措置法』が制定され、倒壊などの危険性のある危険な空き家に関しては『特定空き家』として指定され固定資産税の免除が無くなるという決まりができましたが、未だに多くの利用価値の無い空き家が節税のために解体されないまま残っています。

再建築不可の原因解消は難しい

再建築不可物件の代表的な原因と解消方法は以下の2つになります

・敷地に繋がる前面道路の幅が4mない場合


敷地を後退させて道路工事を行い、前面道路を4mにする(セットバック工事)を行う
敷地を後退させるので門扉や塀がある場合取り壊しになり、敷地は狭くなり、道路工事は自身で費用を負担する形となります、面積よって費用は変動しますが30万~80万程度と言われています。(自治体が助成金を出してくれる場合もあります)

※千葉県市川市の助成金について

市川市の場合「狭あい道路対策事業補助金交付制度」により、狭い道路の改善を進めています。
これは、建築に伴う幅4m未満の道路におけるセットバック部分を市に寄付する事を条件に、測量分筆登記費用や整備費用の一部を助成するというものです。(私道の場合や分譲住宅などは対象となりません)
もし、セットバックについて検討しているのであれば市川市に問い合わせてみましょう。

・道路に繋がる敷地の幅が2m以下の場合


→他の人の土地を購入し、2m以上にする方法が一般的になります。家屋や塀が建っていたり、その家屋に居住中であったり等でかなり難しい条件になります。
購入を打診された方も少し調べれば再建築不可で困っている事はすぐにわかってしまうので、値段を吊り上げられたりする場合もあります。

再建築不可物件の活用方法

近年、再建築不可の物件をなんとか有効活用しようと色々な試みが行われています。

更地にして新たに収益を上げる方法

再建築不可物件は更地にした場合に新たな建物を建てる事はできなくなりますが、建物以外のものを設置したり、空きスペースとして利用する分には様々な収益化をする方法があります。

駐車場

駐車場は再建築不可物件において最もメジャーな活用方法です。
もちろん車が通れるだけの間口が必要になるので、奥まった場所では難しく前面道路の幅員が足りない再建築不可のケースが多いです。

自販機コーナー


最近の自動販売機はドリンクやお菓子・アイス・食べ物(カップ麺やファストフード)だけでなく、めんつゆ・本・ケーキなどの変わり種や・肉、餃子、刺身の冷凍自販機など、面白い物や便利なものなど多岐に渡るラインナップが揃っているので、変わった種類の自販機を置くことで、ちょっとした珍スポット化を目指したり、ベンチや椅子を置いて休憩スペースとして人を呼び込む事ができます。

資材置き場

資材置き場は建設会社などの建築資材置き場としての利用方法です。
再建築不可物件は間口が狭かったり前面道路が狭い場合が多いため、重機等が入りづらく、あまり資材置き場としては向いていない事が多いですが、初期費用がかからず、借主との契約期間が終了した後に更地に戻しやすいため、売却予定の土地などを一時的に貸し出す場合に向いています。

トランクルーム

トランクルームは更地にコンテナを並べて貸し出すだけなので、簡単に行う事ができるうえに、軌道に乗れば長期的に継続して利益を得ることができます。
しかし、簡単に動かせない大きなコンテナ等は設置が認められない場合があります。また、コンテナを利用する人は自宅に物をあまり置けない人や仕事で利用する人が多くなるため、地方などでは需要があまりなく、経営が難しい場合があります。

太陽光発電

再建築不可物件でもソーラーパネルなどの太陽光発電設備は建築物ではなく設置物の扱いなので、既存の建物につける場合も、更地にして設置する場合もどちらも認められています。
ただし太陽光発電で収益を得られるかどうかは土地の条件に大きく左右されるため、収益を見込めるだけの太陽光発電設備をある程度設置できる大きい土地であるか、周りに大きい建物が無いか、太陽のよく当たる土地か、送電網は近くにあるかどうかなどを太陽光発電を専門にしている電気会社などに相談した方が良いでしょう。

トレーラーハウス

トレーラーハウスは再建築不可物件を更地にして新しく住む事のできる最もメジャーな方法です。
トレーラーハウスは下に車輪のついた牽引・移動可能な設置物という扱いになるため、建築物という扱いになりません。当然、建物ではないので住んだ場合に家屋としての固定資産税や不動産取得税がかかりません。

ただし電気水道ガスが公共のライフラインと簡単に着脱できるような状態でない場合(しっかりとした工事が必要になる場合)は、移動可能な設置物という扱いではなく建築物として扱われてしまうため、都市ガス 公共下水・水道が簡単に接続できない場合は プロパンガス・浄化槽・井戸水を使用する形になります。

再建築不可物件をそのまま利用する方

リフォーム、リノベーション

再建築不可物件は新築・増築はできないものの、建築確認が必要ない範囲でリフォーム・リノベーションを行う事ができます。

4号建築物と呼ばれる一般的な2階建て木造住宅は建築確認は不要となりますので、そういった物件であれば新築同様にフルリフォームして住んだり、貸し出す事ができます。
特に再建築不可物件は安売りされている事が多いので、条件次第では普通に新築の戸建てを買うよりも費用を抑えて新築同然の建物に住むことができます。

※4号建築物とは

2階建て以下、延べ面積500㎡以下、高さ13m以下、軒の高さ9m以下の「木造建築物」
平屋建て、延べ面積が200㎡以下の「非木造建築物」

また、需要の高い立地によってはフルリフォームまではいかずとも、最低限の修繕でファミリー向け戸建て賃貸として貸し出せる場合もあります。
立地や家屋の状態によっては、ただの固定資産税の負担になるだった空き家が毎月10万円以上の賃料収入を生みだす場合もあります。

千葉県市川市エリアで再建築不可物件のご活用をお考えなら

南口不動産でも再建築不可物件に多少の修繕を施して賃貸しているオーナー様がいらっしゃいますので、もし再建築不可の使わない空き家があるのであれば、

・売却
・リフォーム
・リノベーション
・住居としての賃貸
・駐車場としての貸し出し

等のご相談をお受付しておりますので、是非一度ご連絡下さい。